先日、某会社の社長と話す機会があった。

その社長は、話によると苦労して会社を立ち上げて、今では無借金経営をしているとか。

「無借金経営」と聞けば、素晴らしい手腕だとは感じるが、

そんな立場の方に限って、自慢話が長く、

他人を見下すような話し方も平然とする。

その会話の中のひとつに、

「世間の皆が勘違いしているのは、銀行へ行って融資を申し込むのがステータスだと思っている事、

　自分の場合は、銀行が会社へ来て、預金口座を作ってくれと頭を下げに来る。

　これが本当のステータス。

　それなのに、世の連中はそういう経験がないから、融資を申し込むのがステータスだと勘違いしている。」

と、威張り腐った態度で言われた。

融資をお願いしに銀行に行く事の何が悪いのか。

悪いのは、

“お金を借りた後、返済しない馬鹿だけ”

であり、きちんと返済する人は、全く悪くない。

会話も面倒になったので、

「そうなんですか。実家も銀行の渉外の方がお見えになりますが、

　それがステータスだと考えた事はありませんでした。」

と。すると、

「苦労知らずのお嬢様育ちにはわからないでしょうね。」

と言われた。

よっぽど

「ええ、成金の方がおっしゃられるステータスなんて全く理解できませんね。」

と言ってやろうかと一瞬考えたが、喧嘩しに来たわけじゃないので堪えた。

大体、初対面で、わたしの何がわかると言うのだ。

これでも、親のコネ入社は嫌だと考え、自力で就職して、実家に頼らず、自活して来たのだ。

実家の家柄が良かろうが、実家に財産があろうが、社会人になったら、実家に頼らない、父や祖父に頼らない。

逆に、社会人になったら、父や祖父母には、わたしが何かしてあげなくてはならないと考えているし、

そういう教育や躾を受け、それが当たり前だと考えて来たわたしは、

職もなく金銭的に苦しい時も実家に頼った事はない。

確かに、幼馴染にも「お嬢様」だと言われる。

だがそれは、実家で育った子供時代迄の事。

第一、社会人になってからのわたし自身はお金持ちではない。

２時間もくだらない“成金自慢他人見下し話”に付き合わされ、時間の浪費でぐったり疲れた。